ただし、フローダイバーターは主に血管全体が膨れる紡錘状動脈瘤に適した治療だ。細い血管では血管内に血栓ができて詰まってしまう恐れがあるため、比較的太い血管に留置する必要がある。「10ミリ以上」という動脈瘤のサイズの適応制限もあったが、2020年以降は5ミリ以上でも実施可能になった。

「留置したステントは治療後約半年で内皮細胞に覆われ、血管と一体化し、動脈瘤は完全に閉塞されます。根治性が高い治療です」(同)

 ただし、フローダイバーターには高い技術と専用の設備が必要なため、治療できる病院は全国にまだ約80施設しかない。

 また、こうした金属製のコイルやステントには血栓が付きやすく、血栓症の予防のために術後は数カ月~1年ほど血液をサラサラにする抗血小板薬の内服が必要だ。ステント併用コイル塞栓術やフローダイバーターの場合は1年以上、内服できることが治療条件のひとつとなる。

「他疾患の手術を控えている人や子宮筋腫や胃潰瘍などで出血しやすい人など、抗血小板薬の内服が長期にできない場合、持病を治してからの治療になります。医師と相談して、最適な治療を選択してください」(同)

 脳動脈瘤治療については、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』で、全国の病院に対して独自に調査をおこない、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。ランキングの一部は特設サイト「手術数でわかるいい病院」で無料公開しているので参考にしてほしい。https://dot.asahi.com/goodhospital/

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(文・石川美香子)

※週刊朝日2021年8月6日号より

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