くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤の破裂だが、脳ドックの普及で未破裂の脳動脈瘤が発見されるようになっている。破裂前に治療できれば発症を未然に防げる。治療技術の進化でカテーテル治療が可能なケースも拡大している。
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くも膜下出血の主な原因となる未破裂脳動脈瘤。脳ドックや別の病気で実施した検査で未破裂脳動脈瘤が見つかるケースが増えているという。
通常、脳ドックでおこなわれるのは、脳の断層写真を撮れる「頭部MRI(磁気共鳴断層撮影)検査」と、脳の血管を立体的に映し出せる「頭部MRA(磁気共鳴血管撮影)検査」だ。この頭部MRA検査で未破裂脳動脈瘤が発見できる。
これらの検査で未破裂脳動脈瘤が発見されたら、どんな場合に治療が推奨されるのだろうか。横浜新都市脳神経外科病院院長の森本将史医師はこう話す。
「すべての未破裂脳動脈瘤に治療が必要というわけではありません。見つかる動脈瘤の半分以上は2~3ミリで経過観察になることが多い。4ミリ以上の場合に、家族性、個数、形状、部位、健康状態なども加味して治療の妥当性が判断されます。5ミリ以上で年齢が70歳以下であれば治療が推奨されますが、最終的には本人の希望を優先します」
未破裂脳動脈瘤が経過観察になったら、どのぐらいの頻度で検査が必要なのだろうか。昭和大学藤が丘病院脳神経外科教授の津本智幸医師はこう説明する。
「2~3ミリの未破裂動脈瘤であれば、まずは半年後に頭部MRIと頭部MRA検査を実施します。そこで大きさや形状を確認し、とくに大きな変化がなければ1年後と、その後は年に1回のペースで検査します」
5ミリ未満でも、形状がいびつであったり、破裂しやすい場所にあったり、と破裂リスクが高い場合には治療が検討されることもあるという。
■場所によっては開頭術も有利
未破裂脳動脈瘤の主な治療法は、くも膜下出血発症時(脳動脈瘤破裂時)の治療と同様に、頭を開いて治療する開頭術とカテーテルによる血管内治療だ。