有村:柳楽さん、三浦さんとは、最初から幼馴染みのような関係性ができていた感じで、現場は穏やかで楽しかったです。

■本当につながったな

――そんな俳優たちの息がぴったりと合ったシーンが、縁側で修と裕之が盃を交わす場面だ。

有村:ある夜、兄弟の真ん中に私がいて、3人で話をするんです。世津は「戦争が終わったら」と、未来を語ります。台本にはなかったのですが、その時、二人の手を取りたいなあと思ったんです。どうにかして、私たちがつながっていることを伝えたかった。

柳楽:最初に裕之の手を取ったんだよね。「お、いいな。で、俺の手も?」ってドキドキしてたんだけど。

有村:修の手もちゃんと取りましたよ(笑)。

柳楽:一瞬、驚いた後に、本当につながったな、と感じました。

有村:あの時代を過ごしていた人たちが、「生きる」という選択をしてくれたから、歴史がつながって、自分たちがいま、ここにいる。この作品をきっかけに、そのことを大事に考えていこうと思っています。

――映画の完成披露上映会の舞台挨拶で、柳楽は、三浦との時間を「これからも愛して大切にしていきたい」と、オマージュを捧げた。

柳楽:僕にとって本当に特別な作品。その思いとは別に、自分たちが未来のために、どのような選択をするか。10代、20代の人たちに、ぜひ観てもらいたい映画です。

(構成/ジャーナリスト・清野由美)

AERA 2021年8月2日号

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