柳楽優弥(やぎら・ゆうや、右):1990年、東京都生まれ。2004年、「誰も知らない」(是枝裕和監督)でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を日本人初、史上最年少で受賞。今年は映画「HOKUSAI」などに主演/有村架純(ありむら・かすみ):1993年、兵庫県生まれ。2017年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインを務める。主人公の妻役を演じた映画「るろうに剣心 最終章The Final/The Beginning」が公開中(撮影/伊ケ崎忍)
柳楽優弥(やぎら・ゆうや、右):1990年、東京都生まれ。2004年、「誰も知らない」(是枝裕和監督)でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を日本人初、史上最年少で受賞。今年は映画「HOKUSAI」などに主演/有村架純(ありむら・かすみ):1993年、兵庫県生まれ。2017年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインを務める。主人公の妻役を演じた映画「るろうに剣心 最終章The Final/The Beginning」が公開中(撮影/伊ケ崎忍)
「映画 太陽の子」は8月6日から全国公開。監督・脚本はNHK大河ドラマ「青天を衝け」の黒崎博が務めた (c)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
「映画 太陽の子」は8月6日から全国公開。監督・脚本はNHK大河ドラマ「青天を衝け」の黒崎博が務めた (c)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

 太平洋戦争時、日本でも原子爆弾が研究されていた──。「映画 太陽の子」は、知られざる史実を背景に、3人の若者が抱く葛藤と希望を描く。本作に出演する柳楽優弥さんと有村架純さんが、印象に残ったシーンや映画を通して感じたことなどを語り合った。AERA 2021年8月2日号から。

【「映画 太陽の子」の場面写真はこちら】

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――「映画 太陽の子」の舞台は、太平洋戦争の終戦が迫る1945年の夏だ。切迫する戦局の中で、柳楽優弥演じる京都帝国大学の学徒、石村修は、原子核爆弾の開発に没頭している。建物疎開で家を取り壊され、修の家に身を寄せる幼馴染み・朝倉世津を有村架純が、修の弟で陸軍下士官の石村裕之を故・三浦春馬が演じた。

■素の時間と重なった

柳楽:監督の黒崎博さんが偶然目にした若き科学者の手記が、この物語のベースになっています。太平洋戦争中に、日本でも原子の力を利用した新型爆弾が研究されていたんだと、はじめて知る事実がたくさんありました。それを僕たち若い世代の俳優が伝えていくことの大切さを最初に感じました。

有村:それまでは被爆国としての歴史しか頭になかったので、この作品が背負う意味を、私も重く受け止めました。

柳楽:映画では、戦時中でも若者たちがそれぞれに青春をまっとうした姿が描かれます。同年代の俳優仲間である、架純ちゃん、春馬くんとの素の時間とも重なっていたと思います。

有村:私もキャストのお名前を聞いた時、柳楽さん、三浦さんの幼馴染みを演じられるということで、特別な時間になる予感がありました。

――戦時下という、現在と違う時間を、若い俳優たちはどうとらえたのだろうか。

柳楽:僕はどうしたら自分が物理学の研究者に見えるのか、そこからの出発でした。監督に勉強会を開いていただき、京大に残る研究所を訪ねたりしながら、いろいろ学びました。修は共感しやすいキャラクターではないんです。家族や幼馴染みとの絆はあるけど、戦争が進む中で原爆研究しか目に入らなくなっていく。普通に明るい青年が、知らず知らずに精神を崩していく感じが怖いんです。

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