――金メダルを狙える位置で戦えたという意味で。

 今出ている(プレーオフを続けている)メンバーに何も劣っているわけではないので、ひとつ歯車がびしっと合えば。「たられば」がなければ20アンダーぐらいいっているし。それはどの選手も一緒だから。その中でいい仕事をした人が金メダルを取れるんだろうし。ゴルフは毎週そのドラマがあるからやっている方も見ているほうも面白い。

――来週は女子がある。

 天気も暑くなるだろうし、男子のあとで急にラフを短くとかはできない。最後に(松山)英樹のようにラフにポンといっちゃうと、非常にタフなシチュエーションが生まれてくるだろうから。がまんして戦い抜くしかないかな。メジャーとかこういう競技は忍耐あるのみなんで、女子チームもそういう気持ちでがんばってほしいなと。

――男子ゴルフ4日間を終えて。

 やれたことを感謝したい。一生に一回あるかないかの東京オリンピックを日本のみなさんと英樹と陸也を応援できなかったのは心残り。爆発的な声援があったら違っていたかもしれないし。そこはさみしかったですけど、無事に終われたのはよかった。

――松山選手は直前にコロナに感染して調整が難しい中で(試合に)入られていた。ご覧になってどうだったか。

 本人の中ではコロナ明けで体力がない中、もうちょっと時間があって1試合で出ていろんなことを確かめてからここに来られたら違っていたのではないかと。(本人は)言い訳にはしないですけど、第三者から見ていると、非常にそこは悔しかっただろうなと。(本人が)ぽつんぽつんと「1回やりたかったな」ってずっと言っていたから。自分の体調が悪くなった後にどういうゴルフができるのか。1試合でもやれたら、次はもっと自信を持っていけるってなるでしょ。そういう思いでここに来たかったというのはあると思います。

――それをふまえて松山さんにはどんな言葉をかけた?

 同情するしかないんで。僕もそう思っていたし。でも、練習場でのパフォーマンスを見ているとただものじゃないと。練習ラウンドの雰囲気を見ていると、ほんとに病気明けなの? という雰囲気もいっぱいある。ゴルフはミスが出るスポーツ。そのミスを減らしていってスコアを作り上げていくスポーツなので、そういうことを考えたら僕らから見ると「十分じゃね?」って思うんだけど。本人の不安は本当の意味で分かってあげられないので。それはいろんなものが最後に出たかなと思いますけど。

――松山選手はまた海外に戻るが、切り替えてできると思いますか。

 そこができなかったら、7年も8年もあの位置でゴルフをやっていないですよ(笑)。一流はそういうところの切り替えは得意中の得意です。

――松山選手は大きな大会に日頃出ているので五輪出場に意味があるのかとも感じるが、松山選手にとって五輪の意味とは。

 間違いなく悔しさいっぱいだから何かでうっぷんを晴らすという気持ちになっているでしょうね。煮えくり返っていると思いますよ。絶対次やっつけてやると。

――国を背負うというのは?

 僕もいろんな代表戦をやらせてもらったけど、なんかワクワクするんですよね。最初のうちは嫌だなと思うけど、終わってみたら「絶対次はやっつけてやる」とか思うんで100倍ぐらい思ってるんじゃないでしょうかね。

――さっき(次の五輪には)出たくないというようなネガティブな発言していたけど逆?

 そうかもしれないけど、もちろんあなたしかいないでしょ、と言われたら「俺がいなけりゃ誰がやる」ということになりますから。

(編集部・深澤友紀)

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