改革の成果は、朴監督就任からわずか3年で表れた。07年世界選手権で男子ダブルスと女子ダブルスで日本勢が3位。このとき日本男子初の銅メダルを手にしたのが池田さんだ。
「世界ランキング上位の選手と競ることができたり、たまに勝てたりするようになる中で、選手たちの意識が変わっていきました。陸上の100メートルで10秒の壁を一人破ったら何人も続いたように、誰かが壁を突破すると、みんなが『自分にもできる』と、自分事化できるようになります」
池田さんが言う「自分事化」がよく表れているのが、女子ダブルスだ。例えば、13年越しの連覇を成し遂げたソフトボールの日本は、上野由岐子(39)が絶対的エースとして投げ続けてきた。一方、バドミントンの日本は3大会連続の五輪メダルを狙った女子ダブルスで3大会とも異なる選手たちが出場した。
東京五輪では男子初のメダリストも誕生した。渡辺は試合後、こう話した。
「僕の成績を追い抜いていく後輩たちがどんどん出てくる」
このメダルは男子にとっても未来への道しるべだ。(編集部・深澤友紀)
※AERA 2021年8月9日号より抜粋