最後に、夏の脳卒中で気を付けたいことをお知らせする。

 この暑い時期、ふらついて倒れたら、真っ先に疑うのは熱中症だが、実は脳卒中の可能性もある。両方ともふらつく、意識を失うといった症状が出るためだ。熱中症と脳卒中の治療はまったく異なるため、早期治療に結びつけるためにも、やっておきたいことがある。木村さんが言う。

「救急搬送や病院を受診する際、ご本人やご家族は、救急隊や病院のスタッフに『高血圧で治療中』とか、『糖尿病がある』とか、『心房細動で薬を飲んでいる』とか、脳卒中のリスクがあることをお伝えください。脳卒中を考慮した対応をしてもらえるはずです」

【血管ストレッチ】(すべて左右20~30秒ずつ、1日2回程度)
【1】大動脈ストレッチ(心臓から出ておなかの中心を通る太い血管)
へそを上に引き上げることを意識。イスに深く座ったら背もたれに寄りかかり、タオルを持った両手を上げて背伸びをする

【2】大腿動脈ストレッチ(足の付け根を流れる太めの血管)
伸びを深めたいときは後ろ足を後方に引く。イスに浅く座り、片足を後ろに引いて足の付け根を伸ばす。背筋は真っすぐ、両手は反対側の腿の上にのせ、上半身が前傾姿勢にならないように支え、視線はまっすぐ前
これを左右行う

【3】膝窩動脈ストレッチ(膝の裏側を走る血管)
イスに浅く座ったら片足を伸ばし、かかとを床に付ける。両手を膝のお皿の上の部分に置いて、ゆっくりと体重をかけていく。これを左右行う。足首は直角でなくてもOK

【4】後脛骨動脈ストレッチ(ふくらはぎからアキレス腱にかけて通っている血管)
イスの背もたれを両手でつかみ、片足を引いてかかとをゆっくりと床に付ける。体は前傾にして体重は背もたれにかけるとラク。体は上下に動かさないこと。これを左右行う。かかとは床に付ける

【5】毛細血管ストレッチ(足の指先や甲の部分などに張り巡らされている細い血管)
イスに浅く座ったら片足の足首を反対側の足の上にのせる。両手で足先を持ち、体を後ろに倒す。足の甲は反っても丸めてもOK。これを左右行う。足先全体を両手でしっかり持つ

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2021年8月13日号