(週刊朝日2021年8月13日号より)
(週刊朝日2021年8月13日号より)
(週刊朝日2021年8月13日号より)
(週刊朝日2021年8月13日号より)

 夏に気を付けたい病気の代表格は熱中症だが、実は、忘れてはいけないのが“脳卒中”だ。発症すると血管性の認知症にもつながる怖い病気だが、自分で予防できる点が多い。紹介する三つのポイントを押さえて脳の血管の健康を維持しよう。

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 国立循環器病研究センターの調査によると、脳卒中の一つである脳梗塞の患者数は、なんと冬よりも夏のほうが多い。

「原因は、汗をかくことによる脱水で血液がドロドロになって、血栓ができやすくなるからといわれていますが、本当のところはわかりません。昨今では高温によるストレスも大きく影響していると思われます」

 と話すのは、脳卒中に詳しい木村和美さん(日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野教授)だ。

 脳卒中には大きく、脳の血管に血栓が詰まる脳梗塞、脳の細い動脈がやぶれる脳出血、脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤[りゅう])がやぶれるくも膜下出血の三つのタイプがある。もっとも多いのが脳梗塞で、次が脳出血だ。

 脳卒中は男性に多い傾向のある病気だが、女性でも女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降に増えてくるので、注意が必要だ。これから紹介する三つのポイントで脳の血管の健康を保ちたい。

【1】持病をコントロール
 どのタイプの脳卒中にも共通する原因は、ずばり高血圧。その背景にあるのが動脈硬化だ。

 ゴムホースを使い続けると硬くなるように、血管も加齢でしなやかさが失われていく。このほかにも糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病も動脈硬化を進める要素だ。

「こうした持病がある人は、生活習慣の改善や薬などでしっかりコントロールすることが大事です」

 と木村さんは訴える。

【2】脈をチェック
 脳卒中の一つ、脳梗塞では、心房細動という不整脈が高血圧などとともにリスクとなる。

 心房細動とは、心臓を拍動させる電気信号に問題が起こることで、心房の収縮が不規則になる病気。これ自体は命に関わるような重要な病気ではないものの、心房内の血流が滞ってよどみができるため、大きな血栓ができやすく、それが脳に飛んで太い血管を詰まらせると、脳卒中のなかでも重度の心原性脳塞栓症を発症することがある。

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