かつては「飯炊き3年、握り8年」と言われるほど、お客さまに出せるレベルのシャリを握れるようになるまでには、長い修業が必要とされていましたが、もちろん、くら寿司をはじめ、大手回転寿司チェーンの厨房には、そうした職人さんはいません。

 その代わりに、シャリマシーンと言われる機械が設置され、黙々とシャリを握っています。このマシーン、最大で1時間に4千個程度のシャリを握ることができるんです。そのスピードは、長年修業した職人さん5人分以上。さらに、シャリに海苔を巻いて軍艦にしたり、細巻きを作ったり、お子様に人気の炙り寿司の表面を炙ったりと、実にいろんなロボットたちが忙しく働いています。

 そして、最近はレーンにお寿司を流していないお店が増えていますが、レーン上を流れるお寿司は、回転寿司の魅力のひとつですよね。

 くら寿司では、かつては店長の腕の見せどころでもあった、次にどんなお寿司を作るのか、どれだけのお寿司をレーンに流せばいいのかなどについても、コンピューターが厨房に指示を出しています。

 厨房のスタッフは、その指示に従って、シャリの上にネタをのせて、お皿を「抗菌寿司カバー・鮮度くん」にセットするだけ。入店して2日目のアルバイトさんでも戦力として活躍できるんです。

 この他にもさまざまな秘密がありますが、企業秘密の部分もありますので、今回はこれくらいで。皆さんも実際にお店に来て、ほかにどんな秘密があるのか探ってみてください。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

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