カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー
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イラスト/カトリーヌあやこ
イラスト/カトリーヌあやこ

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「東京2020オリンピック 開会式」(NHK総合 7月23日19:56~)をウォッチした。

【カトリーヌあやこ画】お茶の間の空気が「ん?」となった開会式の瞬間がこちら

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 皆さん、盛り上がってますか? 真夏の大冒険。もはや開会式のこととか忘れ果てていると思いますが、この状況下で五輪開催したこと自体が、真夏の大冒険。

 なんせ開会式の演出関係者の名前が出るたびに炎上に次ぐ炎上。NHKの「開会式直前SP」に出ていたサンドウィッチマンの富澤たけしが聖火点火式への期待を聞かれ、「辞任解任された方が勢ぞろいして、その炎上の炎が聖火台へ」などと発言して、一瞬生放送のスタジオにピリッとした空気が流れたのも、今や懐かしい。

 誰にも期待されずに始まっちゃった開会式。もうテーマの統一感とかどこ行った。これはいつかの企画の名残? これどうしてもやらざるを得ない何かの名残? という名残ンピック状態。

 そこに突然の真矢ミキ登場。ん? お茶の間の空気が「ん?」になっても、見るのを「あきらめないで!」。そんな強いメッセージか。後ろで「炎上よ、収まれ」とばかりに火消しの纏(まとい)がクルクルと振り上げられる。

 無観客のスタジアムで粛々と進行するパフォーマンス。急に踊る森山未來。法被の人が台の上で踏むタップ。ピクトグラムを50種目連続再現したパントマイムは、「仮装大賞」なら殿堂入り確実。

 でもさ、もしこれで観客がいても、見えた? 何してるかわかった? めっちゃこぢんまりしてる。テレビで見ることが前提なこぢんまり開会式。

 オチがまったく不明なマイクを持ったなだぎ武に、劇団ひとりの前フリで登場する市川海老蔵。4年に一度のイベントというよりは、ふだん見てる気がするこの番組。

 VIP席にいる天皇陛下とIOCバッハ会長も、間にアクリル板があるせいで、うっかりバラエティー番組のひな壇に見えてきた。そして流れる「イマジン」に、クイーンの「手をとりあって」。

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