「漢方薬には症状を緩和するだけでなく、全身の不調を整える働きがある。漢方薬で体調がよくなると、かみ合わせに対して許容できるようになることが多いように感じています。ただし、咬合違和感症候群には傾聴やカウンセリングなどが非常に重要。歯科医師がかみ合わせに対する患者さんのこれまでの経験やそれに関連する不安をもう少し丁寧に聞くことで、信頼関係を改めて構築する。そして歯科医師が患者さんと一緒に前向きに考えていこうとする姿勢が最も重要だと考えています」(同)

「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020運動」の達成者はすでに50%を超えている。歯が残せる人が増えていて、さらにインプラントも普及している。それだけに、今後、高齢者でも咬合違和感症候群となる患者は増える可能性が大きい。

「だからこそ、一般の歯科医師にも、漢方を含めさらなる歯科患者自身に関連する知識が必要です。オーラルフレイルの患者の咬合治療やその後の栄養指導など新たな役割が増えることもあり、そうした意味では、今不足している領域を見直す歯学部教育の大きな転換期にきているといえるでしょう」(同)

 なお、歯科で心身医療をおこなっている医療機関はまだ少数であり、漢方治療を実施しているとなるとさらに限定される。

 本文登場の歯科医師のほか、北海道大学病院(口腔診断内科)、北海道医療大学病院(口腔内科相談外来)、日本大学松戸歯学部付属病院(口・顔・頭の痛み外来)、東京医科歯科大学歯学部附属病院(ペインクリニック)、長崎大学病院(オーラルペイン・リエゾン外来)、九州歯科大学病院(オーラルペインクリニック)などがある。診てもらいたい場合は、事前に電話で問い合わせてから受診を(原則、紹介状が必要)。

(文・狩生聖子)

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