急性膀胱炎を放置すると、慢性膀胱炎に移行して治りにくくなるため、注意が必要だ。また、排尿の出始めではなく、終わりころに痛みがあるようであれば、細菌感染が上行して膀胱の中まで入ってしまった可能性が高い。細菌感染が腎臓まで上行して炎症が進むと、腎盂炎を発症する心配もある。

「尿の濁りや排尿痛をがまんして放置すると、腎機能が低下する心配があります。また、慢性化して慢性膀胱炎になると治りにくくなってしまいます。膀胱炎かどうかは尿検査をして、尿中の細菌の有無を調べると、すぐにわかります」

■抗生剤を服用 1週間ほどで完治

 急性膀胱炎の原因菌は大腸菌であることが多いという。治療は服薬が基本で、慢性化しないように完治させることが肝心だ。

「医師から処方された抗生剤を服用すると、排尿痛が1~2日でおさまり、1週間ほどで完治しますよ。症状が慢性化すると繰り返しやすくなるので、早めに受診して、しっかりと治すことが大事です」

 薬で治療するほか、水分を多めに摂って、排尿回数を増やすことも肝心だ。

「膀胱炎で排尿痛があるとトイレが苦痛になってしまいますが、だからといって、水分を控え、トイレをがまんするのは逆効果。意識的に水分補給してトイレの回数を増やし、『膀胱や尿道を洗い流すつもり』で排尿しましょう」

 実際、どれくらい水分をとればいいのか、参考として、まず、1日に身体から失われる水分の量を知っておこう。成人女性の1回の排尿量は約200ミリリットル程度で、1日の排尿回数は平均6回くらい。1日あたりの排尿量と、排便に含まれる水分量を合わせると約1.5リットルの水分が失われることになる。

 身体から排泄される水分には、排尿、発汗のほか、呼気や皮膚呼吸によって発散される「不感蒸泄」がある。室温が28度で平熱のときの不感蒸泄量は、体重1キロあたりにつき15ミリリットルとされ、体重50キロの人であれば、1日あたりの750ミリリットル程度の不感蒸泄量があるとされる。つまり、成人女性の身体から排泄される水分量は、1日あたり、トータルで2リットル以上に及ぶのだ。

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トイレの我慢は膀胱炎のもと