
メジャーデビューから3年、ヒット曲を連発し、見える景色は大きく変わった。だが、4人が音楽へ向けるまなざしは変わらない。AERA2021年8月9日号から。
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——2018年にメジャーデビューし、翌年には日本武道館公演を行い、紅白歌合戦にも出場した。新型コロナウイルスの感染拡大がはじまったのは、描いた夢が次々とかない、バンドの勢いが加速するさなかだった。
藤原聡(以下、藤原):偶然ですが、ぼくらの音楽をたくさんの人に聴いてもらえるようになったタイミングにコロナ禍が重なって。これからどういうバンドになっていくかを考え直す時期に、強制的に人と関われなくなったことはバンドにとって大きかったかもしれません。
小笹大輔(以下、小笹):レコーディングを再開したのが去年の6月で、スタジオに4人で集まったときは、安心感で光が見えたことを覚えています。楽曲制作やデータのやり取りをしてみたものの、バンドの醍醐味はみんなの意見をリアルタイムで交換していくことなんだ、と。
藤原:制約があるなかでもオンラインライブをしたり、みんなと音楽を共有する選択肢が多かったことに感謝しながら過ごしていました。
■同じ生命体ではない
——昨年開催予定だった初のアリーナツアーはコロナ禍で延期に。6月23、24日には1年4カ月ぶりとなる有観客ライブを横浜・ぴあアリーナMMで開催し、自粛期間中に音楽が届いている実感が持てなかった不安も吐露した。ステージに立てなかった日々は、バンドの在り方を自問自答する期間でもあった。
藤原:音楽の主権を人に譲ってはいけないということを考えていました。こういう曲を作ったら売れるとか、このほうが人に喜ばれるということをファーストで制作するのは不健全な形というか。自分たちが胸を張れる楽曲でないと、バンドの主軸が失われてしまうんじゃないかと思う。だから、4人がやりたいことを思いっきりやれるかどうかを大切にして、その延長線上に「売れる」があれば、それはOKということですよね。
楢崎誠(以下、楢崎):かといって、4人全員が同じ生命体ではないので、いつも同じ方向を見て同じ物事を考えているわけではなくて。もし考えにズレがあっても心に抱えたままにせず、全員が「それでいこう!」というマインドになれるまで、音楽と向き合うことを重ねています。