■フレッシュな気持ちで
——2012年に結成してから、今年で10年目を迎える。上京やメジャーデビューを経て、見える景色は大きく変わった。どんな環境にあっても、4人のど真ん中には音楽があるという。
藤原:音楽だけしかやってはいけないとは思っていなくて、一人ひとりの人生でやりたいことは悔いなくやってほしいし、自分もそうありたいんです。ただ、結成当初から人生の大きなところに音楽があります。みんなで新しい曲のアレンジを朝まで考えたり、ライブが終わったらすぐにレコーダーで演奏をチェックしたり、音楽的な向上心を全員が高い熱量で持っているバンドであることが、僕はすごくうれしくて。たとえミュージシャンとしてご飯を食べられるようになっていなくても、その熱量は変わらなかったと思います。
小笹:音楽一本でやっていくぞという強さより、他のことをやっていたとしても音楽をやっていたいという気持ちが、俺たちの中にはあるかもしれないです。
藤原:あぁ、それだ!
小笹:趣味でバンドを続けられている人と出会うと、本当にすごいなと感じることがあって。仕事や家庭があるなかで、もう一本の柱として音楽を続けている人のほうが、実は強いものを持っているんじゃないかと思うこともあります。
松浦:言いたいことはほとんど言ってくれているんですけど(笑)、バンドで自由にやるのもいいし、バンド以外で自由にやりたいことがあったらそれをやるのもありだなって思う。フリーダムに楽しくバンドができたら一番いい。
楢崎:同意見でございます(笑)。
藤原:こうやって話すと、そこに落ち着いちゃうね。バンドはやっぱり楽しいっていうのは変わらなくて。10年同じテンションで、同じ感情を抱き続けるって、けっこうすごいことだと思うんです。いつでもフレッシュな気持ちで、いつでもめっちゃ失敗して「どうしたらいいんだろう」ってみんなで言ってるし、そのぶん新しい達成感もあるし。
松浦:ぶつかったときには話し合って、それぞれの人間性をわかっていって、“ヒゲダン”という関係が生まれているのかなと思います。
(編集部・福井しほ)
※AERA 2021年8月9日号