「人工的な色合いでびっくりしたよね。でも肌とあいまって妖艶さも感じさせるヘアスタイル。まるでミュージックビデオを見ているようだったよ」
と感想を述べた。同時に感じたのは、選手の自己アピールの巧さ。
「何年も努力して、追い込んでやっと五輪の舞台に立った私を見てって、アピールしている。気合いを入れたくなる気持ちはわかるよね」
選手の個性的ないで立ちを見て、昭和生まれならば、米国の短距離選手ジョイナーさんを思い出した人も多いだろう。1988年のソウル五輪で活躍し、左右非対称なウエアなどで観客の度肝を抜き、長いソバージュヘアをなびかせて疾走する姿にしびれた人も多いはず。そのジョイナーさんと比較して、ドン小西さんは「時代が違うよ」と指摘する。
「あのころは全身のトータルコーディネートで突出していた。しかし、いまは上半身、特に顔と頭に集中している。みんなスマホの画面で見る時代でしょう? 手のひらサイズの画面での見栄えを意識した結果ですね」
とはいえ、選手に注目が集まったことは、ドン小西さんはうれしく感じたという。
「商業主義で開会式の演出が派手になりがちだったけど、本来は選手のための祭典。選手の存在が際立ったほうがいいんだよ。これを機に、五輪の在り方も変わってくるのでは。今後、どんな選手が出てくるか楽しみだね」
次はパリ大会。ファッションの都で繰り広げられるスポーツの祭典に期待したい。(AERAdot.編集部 鎌田倫子)