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「親の介護が始まったことで、久しぶりに兄弟姉妹との連絡が密になった」という人は少なくありません。力を合わせて親のためにがんばることができればいいのですが、実際には「きょうだいの存在がストレスです!」という声も聞こえてきます。『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』(上大岡トメ著)の監修を務めたファイナンシャルプランナー黒田尚子さんも、遠距離介護の親を兄と妹で分担しながらサポート中。さて、介護できょうだい関係を悪化させないためにできることは?
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冷たいようですが、「家族だから助け合うのが当たり前」というのは幻想だと私は思います。血を分けたきょうだいでも、中年期にもなればお互いに別の人生を歩んでいます。現在の家族や自分の生活を守ることが最優先になるのは、仕方のないことです。
それでも可能な範囲で努力しあい、親の介護という大プロジェクトのために再結集しているなら、それだけで価値あることではないでしょうか。会社の人間関係や学校のPTAのように、置かれている環境や価値観が違うのだから「わかりあえなくて当然」ということを前提に、適度な距離感と配慮をもって話し合うことが成功のコツだと私は思います。
そのためにも、親がまだ元気なうちから1年に一度くらいは家族会議を開いておくことをおすすめします。できれば親や、それぞれの配偶者もいっしょに集まれればいいのですが、難しい場合にはきょうだいだけでも十分です。リモートでもいいので、顔を見て話す機会があることで、お互いの最近のようすや考え方がなんとなくでもわかってくるはずです。
家族会議で話し合いたいことは、おもに以下の4つです。
1 老いた親が抱えているリスクの洗い出し
親の健康状態、室内の危険な箇所、車の運転、認知機能、家計管理のようす、最近の言動など、お互いに気になっていることを伝え合い、今後どんなトラブルの可能性があるかを確認していきましょう。