菅首相に続き、神奈川県選出の小泉進次郎環境相、河野太郎ワクチン担当相も小此木氏の支持を表明し、国政選挙並みの総力体制で臨んでいる。しかし、自民党幹部はこうため息をつく。

「現職閣僚から市長へ転身という異例の決断をした、小此木氏が優位という下馬評だったが、8月に入って実施された情勢調査では、小此木30ポイント、林27ポイント、山中23ポイントと拮抗していた。この数字を聞いて、菅首相はひっくり返りそうになったそうだ。ダントツで勝てると思っていた小此木氏と林氏の差は3ポイントしかない。野党の山中氏とは7ポイント差です。与党の選挙は最初に組織で20ポイントほど差をつけて、最後は10ポイント程度まで詰められても、勝つ先行逃げ切りが王道です。菅内閣と自民党上げて圧勝を目指していた小此木氏が、まだ序盤でここまで詰められている。首相も『本当に大丈夫なのか』『いけるのか』と不安になっている様子だ」

 小此木氏の祖父は横浜市議会議長から衆院議員になった。父も地盤を継いで衆院議員となり、建設相、通産相を歴任。祖父の代から横浜市をずっと地盤にして90年近い「老舗」政治家一族だ。なぜ、ここまで苦戦しているのか。

「選挙が混迷しているのは、小此木氏が突然、IR誘致の中止を訴え、出馬したことにあります。菅首相や小此木氏はもともと地元でIRを推進してきました。しかし、横浜市長選の直前、小此木氏が中止の立場に変節しました。現職の林氏は地元の経済団体と一緒に菅内閣の意を受けてIRを推進してきましたが、小此木氏が反対を表明したことで梯子を外された。IR誘致を進めてきた自民党の市議団、県連は分裂し、地元経済界の反発も招きました。経済団体の一部は菅内閣の変節は理不尽と怒り、小此木氏の対抗馬として現職の林氏に出馬を促したそうです。こうした地元の動きに危機感を抱いた菅首相は、懐刀の和泉首相補佐官を裏で動かし、小此木氏を支援するように地元に働きかけていますが、支持は広がっていません」(官邸周辺者)

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