東京五輪では結果を残せなかったなでしこジャパン (c)朝日新聞社
東京五輪では結果を残せなかったなでしこジャパン (c)朝日新聞社
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 東京オリンピック2020が終わった。日本勢としては、過去最高のメダルラッシュとなったが、なでしこジャパンはベスト8で敗退した。世界を相手に戦うスポーツのひとつである以上、そこに挑む代表チーム、選手の活躍は、一般人が注目する大きなきっかけになる。「代表が活躍すれば、それだけWEリーグの開幕も注目される」という声は、選手、関係者からもあがっていた。メダルマッチに進めない8強止まりという結果に、落胆している人も少なくない。

 スウェーデン戦の視聴率をロンドン五輪当時と比べると、だいたい4割程度とのこと。そのロンドン五輪が行われた2012年は、空前の女子サッカーブームが、日本列島を覆っていた。今回、地元開催ということで、例年以上にオリンピックへの関心が高まっていたのかも知れないが、絶頂期と比べても半数弱の人々が、大なり小なり、なでしこジャパンの試合に興味を持っていたことになる。女子サッカーには、まだまだポテンシャルがあるらしい。

 その潜在的顧客を、どれだけスタジアムへ呼び込めるか。ここにWEリーグの成否はかかってくるだろう。代表の活躍が女子サッカーへの注目度を高めることは間違いないが、「代表が活躍しないと、WEリーグも注目されない」とまでなっては、依存し過ぎだ。まず、リーグを単独で魅力あるコンテンツとして成り立たせなければ、いつまで経っても代表が負ければ、すぐに屋台骨が揺らぐようなことになってしまう。

 開幕に向けて、最大の問題点は、WEリーグの認知度の低さだ。女子のプロサッカーリーグが始まるということを、どれだけの日本人が知っているのだろう。各クラブは、それぞれのホームスタジアムやクラブハウスに近い地域へ足を運び、また、各メディアへの取材対応など、確実にリーチできる部分へ、地道なアプローチを行っている。それでも9月12日の開幕に向けて、プロモーションが十分かと言えば、足りていない。

 オリンピック前にせっせと大金を投じて、女子サッカーをアピールしても、その効果は、WEリーグまで届かず、その手前にあるなでしこジャパンのアピールに終わってしまう(女子サッカー界全体としては、それでいいのかも知れないが)。ギリギリまで弓を引き絞って、開幕が近づいたところで、短期集中型の告知が行われるのではないだろうか。

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目標は「1試合あたり5,000人の観客」