サッカーファンへの呼びかけや、リピーターについては、クラブとスタッフ、選手たちの努力によるところが大きいが、新規ファンの獲得についてはWEリーグの運営サイドが主体的に動くべき。特に、きっかけとなる開幕戦の観客(またはリモート観戦者)数については、積極的なPR活動で支援して欲しい。そうでなければ「1試合あたり5,000人の観客」という目標は、画餅に帰する。
WEリーグは、日本女子代表の土台を固める存在にならなければいけない。個人的には、代表選手を輩出することよりも、日本の女子サッカーの未来を引っ張っていく役割を期待したい。WEリーグは、小中学生のサッカー少女たちの観戦に力を入れているが、それは単に観客動員(子供が来場すると、家族や友人たちもついてくると期待できる)の観点からだけではなく、プレー人口の伸び悩みが課題である女子サッカー界にとって、突破口になりうるからだ。
「スタジアムに行って楽しかった」「すごいプレーがあった」。そんな体験を基にして、少女たちがサッカーを始めてくれたり、もっと好きになったりしてくれる。実際、ベテラン選手の中には、華やかなりし頃の日本女子サッカーリーグ(L・リーグ⇒なでしこリーグ)を観戦して、「将来、女子サッカー選手になる」と決意した選手がいる。現在の代表選手だと「アテネ五輪予選の北朝鮮戦を見て」「なでしこジャパンの世界一に感動して」という選手が多いかも知れないが、そうしたムーブメントをWEリーグでも起こさなければいけない。
高校生まで成長すると、WEリーグはもっと近い存在になる。8月22日まで行われていた令和3年度のインターハイで活躍した選手からは「卒業したら(あるいは、将来的に)WEリーグでプレーしたい」という声が出ていた。それも「プロリーグになるからではなく、もともとレベルの高いところでやりたかった。プロリーグになることでさらにハイレベルになりそうで楽しみ」とのこと。