私、他の人からは誕生日プレゼントなんてあまりもらわないけど、メリーさんは毎年忘れずに、心のこもったものをくださいました。でも、私からはあげたことはなくて。実は誕生日も知らないんです。メリーさんは人に何かしてもらうことがあまり好きじゃない感じがしていたので、聞いたことがなかった。今となっては、私もお誕生日に何かして差し上げていたらよかったなと思います。

 メリーさんのことだから、たぶん自分では体調の変化をわかっていたのかなと思うんだけど、そういうそぶりは一切見せなかった。自分のことはさておいて周りの人たちに尽くすという生き方を、亡くなるそのときまで貫いたんだと思います。

 でも、まさか今年のお誕生日プレゼントが形見の品になるとは。パンダのリュックを背負ってみようと思ったんだけど、悲しくて背負えなかった。だからそばに置いて、眺めるだけです。

 メリーさんがいなくなってしまった実感は湧かないんですけど、とにかく寂しい。いずれ天国なりで会ったらいろんなお話ができるからいいけれど、もうちょっと長く生きていてほしかった。

 私のことを本当に大切にしてくださって、困ったときは親身に寄り添ってアドバイスをしてくださった。訃報をきっかけに初めて知ったことなんですけど、私のマネジャーにも「わからないことがあったら何でも相談に乗るから心配しないように」って言ってくれていたみたいで。

 私にとってメリーさんは親友であり姉であり、そして心の支えだったんですね。

(構成/本誌・大谷百合絵)

藤島メリーさん/1927年、米ロサンゼルス生まれ。夫は作家の故藤島泰輔さん。62年にジャニーズ事務所を創業、弟の故ジャニー喜多川さんがタレントの発掘や舞台演出を担う一方、主に経営実務を引き受け支えた。長年、副社長を務め、2019年7月のジャニーさん死去後、代表取締役会長。その後、昨年9月に名誉会長となっていた。現在の社長は長女の藤島ジュリー景子さん

週刊朝日  2021年9月3日号

暮らしとモノ班 for promotion
大人向けになった!「プラレール リアルクラス」は飾って良し、走らせて良しの再現度にときめく