でも、いつも気張っているわけじゃないんです。遊んでいるところに電話がかかってくることはなかったし、仕事を離れればいっぱい冗談を言って、笑って、食べて。
コロナになる前は、毎月のように一緒にお食事に出かけていました。おいしいお店を見つけると、すぐに「ねえ行きましょうよ」って連れていってくださる。
あの方はね、お魚が苦手なの。でも私が好きだからっておすし屋さんに行くのよ。それで板前さんに「何かお嫌いなものはありますか?」って聞かれると、「お魚」って。板前さん驚いちゃって。それでお魚の代わりに貝なんかを食べていました。
帰り、メリーさんの車でマンションまで送ってもらうと、いつも車を降りて私の部屋のドアの前まで来てくださるんです。ドアを閉めるまでそこにいて、「早く閉めちゃいなさい、じゃあね」って。
よく差し入れもしていただきました。夜、家に帰ってドアノブに袋がさがっているとメリーさんからだとすぐにわかる。はちみつとかチーズとか、いろんなものを届けてくださいました。自分が食べておいしかったら、誰かに食べさせてあげようと思うのでしょうね。
みかんなんて皮をむいて筋も取った上で、またきれいに皮に包まれているんです。すぐ食べれるように。私、お手伝いさんがやっているのかと思ってたんだけど、メリーさんが自分でやっていることがわかってすごく驚いたの。思い立ったらパパッと準備して持っていく。優しいだけでなく行動的な方でもありました。
そんなメリーさんが亡くなったと聞いて……。そうねえ、ショックでした。本当に悲しかった。今思い出しても涙が出ちゃうんだけれど。
体調が優れないなんて全く聞いてなかった。それに、この8月9日の私のお誕生日プレゼントとして、パンダをモチーフにしたリュックサックやポシェットが届いたばかりだったんです。私が好きなキラキラしたクリスタルがいっぱいついていて、“T.K”と名前の頭文字も入っていて。特別にあつらえてくださったんですね。