近年注目を集めるHSP(Highly Sensitive Person=とても敏感な人)さん。HSPアドバイザーとして活躍するゆりかさんも当事者の一人です。もとは大手企業に勤めていたものの、会社員時代にHSPの概念に出合ったことで退社を決意。いまやインスタグラムフォロワー14万人を突破する人気アドバイザーとなっています。

 本音を伝えるのが苦手で生きづらさを抱えていた20代の女性が、どうやって自分らしさを取り戻したのか。ゆりか著『本音を言おうとすると涙が出てくる』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

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「自分に自信がありません」

 数千人以上のHSPさんと関わってきて、幾度となくこの言葉を聞いてきました。なぜ、HSPさんは自信をなくしてしまうのでしょうか。

 その一番の原因は、「感じる」ことにフタをしてしまうからです。共感力の高いHSPさんは、ちょっとした刺激を敏感に受け止めがちです。感じることにフタをすると、一瞬は嫌なことから逃れられて、楽になる気がします。

 けれども一方で、「自分が本当にやりたいこと」「ワクワクしてしょうがないこと」も感じられなくなってしまいます。そうすると、「なんだか自分の人生を生きられていない気がする」と人生の迷子になってしまうのです。

 私自身も、「感じる」ことにフタをして、人生の迷子になってしまったHSPの1人でした。

 ですが、ある1人の書道の先生との出会いで「感じる」ことを思い出しました。その出来事をきっかけに人生が大きく変わっていったのです。

 少しでもあなたのヒントになれば嬉しいので、そのときの話をしましょう。

■人生の迷子になっていた私

 その先生に出会ったのは、私が会社員を辞めることを決断した直後。でもまだ、「次の道はどうしようか?」と迷っていたときです。

 知り合いから紹介していただいた書道教室にふらっと参加しました。閑静な住宅街の高台に建つ、立派なおうちで密かに開かれている教室です。

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玄関の扉を開けるとそこには…