──ジェームズを演じるブライアン・タイリー・ヘンリーとリンジーを演じるジェニファーの共演が見どころです。スクリーン上の友情はどうやって育んだのですか?
「ブライアンとは19歳、大学時代からの友人だ。ブライアンは類いまれな才能のある俳優。ジェニファーに会ったとき、きっと二人は意気投合するだろうと思った。予想どおり二人は初めて会ったときから息はぴったりで、撮影した最初のシーンも運命的というほどだった。二人の相性が、スクリーンにおけるキャラクターの関係を作り上げていく上で欠かせないものとなった。週末をかけて脚本を読み直し次の週に撮影するシーンについて話し合いつつジェームズとリンジーの友情は生まれていった」
──ニューオーリンズという舞台も魅力的です。住宅地の静けさや伝統的な建築やインテリアなど、この選択は?
「脚本家がニューオーリンズの出身で背景がここに設定されていた。ニューオーリンズ以外での撮影は考えられなかった。撮影を機にあの町について詳細に調べた。米国の都市の中でも類いまれな伝統に支えられ、活気があって華やか、四季の変化にも富む。そして過去に幾度もの災害を乗り越えてきた。その点でも、背景がこの町であることには深い意味があると思う。ニューオーリンズはマルディグラ祭やバーボン・ストリートといった観光地としても知られているけれど、映画ではそれとは違った、人のぬくもりを感じさせるようなところを見せたかった。住民が生活している、人々の故郷でもある町として」
■舞台にはないクローズアップ
──舞台演劇の出身だそうですが、最近多くの舞台出身の監督が素晴らしい映画を発表しています。舞台出身の監督特有の共通点や手法などはありますか?
「舞台と映画、二つの媒体は根底で深くコネクトしていると思う。物語を語る方法、俳優とのかかわり方など、基本は同じだと思う。あなたの質問に具体的に答えるとしたら、舞台監督が長編映画を作る場合、舞台ではなかったツールを持っているということを強く意識する。中でも最大のツールはクローズアップ。舞台にはない、このすごいツールが使えることに感激したし、その価値を痛感する。今作ではクローズアップが重要な意味を持っていて、だからこそ多用したくなかった。使いすぎて意味が薄れるようなことはしたくなかった」