厚労省の予防接種課は、30日からサイト上で注意喚起をしている。

「まだ被害にあったという報告はありませんが、ツイッターでフィッシングサイトが出ているという情報が複数出ていたので、それを踏まえて30日から注意喚起をしているところです。コロナワクチンは無料ですので、お金に関する情報を頂くことはありません。銀行口座やクレジットカード番号を求めることもありません」(厚労省の担当者)

 大規模接種センターを開設した防衛省もAERA dot.の取材に対応し、注意を呼び掛けた。

「ワクチンの接種予約を装う不審なメールやSMS(ショートメッセージ)が確認されていることは極めて遺憾です。防衛省自衛隊や自衛隊大規模接種センターから予約確認や問い合わせのメールを送信することはありません。不審なメールやSMSを受信された場合は、ウイルス感染や詐欺などの危険があるため、メッセージ本文に記載されたアドレス(URL)や添付ファイルをクリックしないよう、ご注意ください」

■タイミング見計らったか

 国民生活センターでは、ワクチン詐欺に関する相談を受けるホットライン(0120-797-188)を開設している。担当者によると、「今回の事例に関する情報提供があったものの、まだ被害にあったという情報はない」という。

 ただ、今回のフィッシング詐欺に関しては、詐欺師がタイミングを見計らった可能性が拭えない。というのも、東京都が若者向けのワクチン接種会場を設けた27日(金)に、希望者が殺到して長蛇の列ができ、翌28日(土)から抽選券を現地で配布する事態になった。炎天下で、密を作り出したことに対して批判が沸き起こった。これを受け、30日(月)からネット予約が開始。ワクチン接種をめぐる混乱が生じた真っ只中で、くだんのフィッシング詐欺が起きた。

 前出の篠原さんは指摘する。

「東京都が、若者を対象に予約なしでワクチン接種ができることになったことで混乱が生じ、ネット予約ができるようにしてほしいという要望が上がりました。このタイミングに、大規模接種センターでの接種予約を語る詐欺メールが届きました。詐欺師が狙ったのか、単純にタイミングがあったのかは、わかりませんが、悪質だと思いました。自分も打ちたいと思っている時に、メールが届く。特にワクチンは、予約の枠に限りがあり、時間勝負でアクセスするので、急いで予約しようとして引っ掛かってしまう人がいてもおかしくありません」

 人の弱みにつけこむ詐欺には気をつけたい。

(AERA dot.編集部・岩下明日香)

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