目指すのは「日本一のエンタメ鉄道」。新商品開発に運転体験、車両の床の一部をガラス張りにしたシースルー電車を走らせるなど、次なる一手を温めている。
「何もやらないのが一番リスク。98年間、地域の皆様に支えられてきたので、少しでも恩返しをして『ありがとう銚子電鉄』と言ってもらえるようにしたい」
■カギは地域住民の理解
鉄道ライターの杉山淳一さんは、現地の魅力をもっとアピールするべきだという。
「副業が好調だけに、かえって鉄道の魅力が埋もれてしまっているかもしれません。沿線にはキャベツ畑が広がり、秋はコスモスも色鮮やか。ぬれ煎餅は焼きたても美味。『現地で楽しむ銚子電鉄』をもっと発信すれば、集客に結びつくと思います」
一方、中央大学の後藤孝夫教授(交通経済学)は、チャレンジングな取り組みを評価しながら、鉄道会社の努力だけでは限界に近づいていると指摘する。
「復活のカギは、『地域住民の理解』にあります。そのためには、まず地域住民との交流や話し合いが大切。その中で、銚子市のシンボルにもなっている銚子電鉄を皆で支えていこうという機運が高まれば、市全体で応援しようという方向に向いていきます。地域で支える枠組みができれば、銚子電鉄は生き残っていくことはできると思います」
頑張れ、銚子電鉄。(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年9月6日号