では、新たな左サイドバックは誰か。ボランチが本職でありながら、東京五輪で好パフォーマンスを披露した24歳の中山雄太を本格的に左サイドバックとして育て上げる手はあるが、やはり攻撃面では物足りない。反対に、旗手怜央では守備面に課題があり、東京五輪でも左サイドバックとしては不安が付き纏った。そこで期待したいのが、24歳の小川諒也だ。強さと速さ、正確な左足のキックを持つ大型サイドバック。国際舞台の中で継続的に起用して行く中で安定感を高めることができれば、大きく飛躍する可能性を持っている。チームとしても「左利きの左サイドバック」を起用することで、ピッチ上でのボールの置き所と回し方は確実に変化し、それが攻撃の活性化にもつながるはずだ。
こうして考えると、日本には人材がいない訳ではない。最後に悔しさを味わった東京五輪メンバーの奮起にも大いに期待したい。だが、人材は活用しなければ埋もれてしまう。指揮官として経験、実績のない若手を起用するのは勇気のいることではあるが、リスクを恐れて挑戦することを忘れてしまっては、チームとしての成長はないのだ。W杯予選の最初と最後でスターティングメンバーが様変わりすることは、過去に何度も繰り返されてきた現象である。オマーン戦に完敗した今、森保監督の勇気あるチャレンジ、もしくは日本サッカー協会の決断が求められている。