東京五輪では聖火ランナーの最終点火者で「サプライズ登場」。自身のツイッターで「間違いなく、私がこれまでに経験したことのない最高に名誉なことです」、「今の気持ちを表す言葉はありませんが、今は感謝でいっぱいです」と感動の思いを綴ったが、金メダル候補として期待された女子シングルス3回戦では世界ランキング42位のM・ボンドロウソワ(チェコ)に0―2でストレート負け。3か月ぶりの試合で動きが鈍く、絶好調のボンドロウソワの勢いに呑まれる形となった。

「鬱病から過去に復帰したアスリートの中には実戦復帰に2年以上かかった選手もいる。簡単に回復する病気ではないんです。もちろん五輪に出場することや聖火ランナーに選ばれることは名誉ですが、鬱病を告白して数カ月しかたっていない。金メダルを求めるのは酷だし、さらに病状が悪化する危険性もあった。大坂に必要なのはテニスを忘れて心身をリフレッシュする時間だと思います」(大坂を取材しているテレビ関係者)

 大坂は全米オープンが開幕した日にツイッターで、「自分は謙虚だと言われるが、よく考えると自分自身を卑下している」と悩める胸中を告白。「もっと自分自身を褒めた方がいいと思う」、「あなたの人生はあなたのものです。他の人の基準で評価されるべきではない」など思いを綴っていた。

 瞬く間に世界のトップに駆け上がったが、その重圧は計り知れない。大好きなテニスを続けて病状が悪化することを防ぐためにも、しばらくラケットを置く時間が必要なのかもしれない。(牧忠則)

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