そして、魔王ダンテに登場する要素は、実はマジンガーZにも受け継がれていることが見て取れるという。

「『魔王ダンテ』で主人公の意識がある頭部は兜甲児がマジンガーZを操縦する場所と同じですし、自らの強大すぎる力を制御できない序盤の描写にも共通点が見いだせる。マジンガーZの名前も『魔神』ですからね。巨大な力を得ることへの憧れと、大きすぎる力の危険性、そこに混迷の時代を乗り越えるためのヒーロー的要素を盛り込んだのが、この二つの作品なんだと思います」(同)

 デーモン族を裏切り人類のために戦うというアニメ版デビルマンの設定については、氷川さんは前年にスタートし社会現象となった「仮面ライダー」の影響も指摘する。

「『敵の組織を裏切り戦う』という構造は、仮面ライダーや、さらに前のタイガーマスクに通ずるものを感じます。大組織に属していても使い捨ての存在である、という感覚は、『内ゲバ』が繰り返されるようになっていた当時の学生運動や安保闘争などの影響もあったのかもしれません」(同)

 両作品が子供たちの心をつかんだ要因は、他にもある。デビルマンの「あれは誰だ」の印象的なフレーズから始まる主題歌や、哀愁をおびたエンディング曲。水木一郎氏が歌い今やアニメソングの代名詞のような存在になった「マジンガーZ」のテーマ曲。いずれも、一度聴いたら忘れられないインパクトだ。前出の大槻ケンヂさんはこう語る。

■水木一郎の歌に大人世代が熱狂

「素晴らしいですよね、マジンガーZのテーマ曲には血湧き肉躍る高揚感がありますし、デビルマンのオープニングは映像とのシンクロ具合も神がかっています。一方で、デビルマンが鉄骨の上で一人座っている哀愁あるエンディング。ちょっと寂しい部分をもつヒーローというのは、のちのマーベル作品の映画などにも影響を与えたのではないでしょうか。そういう映画の寂しいシーンで、頭の中でデビルマンのエンディングテーマが流れることもある気がします」

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