大槻ケンヂさん
大槻ケンヂさん

「『デビルマン』のアニメは当時の東京では土曜の8時台の放送で、『8時だョ!全員集合』の裏番組だったので、どっちを見ようか迷っていました。原色の使い方も印象的で、人間からデビルマンへのメタモルフォーゼ(変身)もショッキングでした。『マジンガーZ』も、リモコンで操縦していた鉄人28号のようなそれまでのロボットとは違い、自分が乗り込んで操縦するという新しい発想。それまであったものから全く新しいものが誕生するという意味では、音楽でいえばビートルズやテクノポップの誕生に立ち会ったようなものだと思います。ほんとに倒れるぐらいのショックでした(笑)。どちらのアニメも、永井豪先生の作品だけが持つなんともいえない雰囲気が漂っていた気がします。毎回、衝撃を受けながら見ていました」

 大槻さんは“筋金入り”の永井豪ファン。2作品はもちろん、小学校低学年で読んだマンガ「あばしり一家」など、永井豪作品に大きな影響を受けてきたと語る。

「よく、『大切なことは◯◯から教わった』と言いますが、僕の場合何かといえば、やっぱり原作版の『デビルマン』なんです。特に、終盤にかけて『神は良きものでない』という展開は本当に衝撃でした。のちに、いろいろなマンガやアニメに出会うと、これはデビルマン的な作品なのか、そうではないのか、そういう見方をするようになってしまいました。『エヴァンゲリオン』シリーズもそうですが、近年の『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』、『チェンソーマン』など話題の作品を見て、『おお、デビルマンだ!』と要素を見つけては納得するという(笑)。周りにも、『この作品がいかにデビルマン的か』を熱弁するようになってしまっています」

■両作に共通する力へのあこがれ

 あらためて作品が生まれた72年当時の時代背景を振り返ると、戦後の復興から右肩上がりの成長を続けた日本社会が、曲がり角を迎えた時期だったことに気づく。アニメ・特撮研究家の氷川竜介さんがこう語る。

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