「優秀な現役大学生だけではなく、かつて有名大学の学生だった信者が、今は一流企業や医療、法曹界、官公庁などあらゆる業界に散らばっています。スポーツ選手などの有名人もいます。講演会に参加したらこうした人たちに会えるのですから、その道に志のある学生は感激してしまいます。そうした手口で、とにかく正体隠しを徹底しているのが摂理なのです。さらに、どんな学生をどうやって勧誘するか、ターゲットの絞り方も緻密です。信者の整形外科医が、大学医学部の体育会系部活動の練習場所に出向き、『体が故障してないか見てあげる』などと言って近づいた例もありました」(渡辺弁護士)
コロナ禍の今は、キャンパスに学生がいないためSNSを駆使した勧誘を活発化させている。狙いは、入学前の高校生や就職活動を控えた学生たちだ。
ツイッターで「#春から〇〇大」など新入生だとわかるハッシュタグを見つけると、当該大学の卒業生らの信者がツイートにフレンドリーにコメントし、徐々にダイレクトメッセージにつなげていく。
一定の関係をつくった後は、次のステップである「聖書」に進む。
「聖書のすすめ方も非常に巧妙です。宗教色を隠し、例えば(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズなどの偉大な人物たちも聖書を勉強してきている、などと、あくまで自分自身の向上に必要なものとして聖書を持ち出すのです。勉強会を繰り返していくうちに、いつの間にか『救い』や『死後の世界』など摂理の教義に近づき洗脳していく。そして、もう十分にマインドコントロールされた段階になって、教祖である鄭氏の話を切り出すのです」(岩崎牧師)
近年、キャンパス内で摂理による勧誘被害があり、ホームページで名指しして注意を呼びかけている青山学院大学は、「キャンパスで問題が起きれば対策が打てますが、コロナ禍でキャンパスに学生が来ないため、学生たちの動向が把握できない状況です。SNSで勧誘されたら、こちらからは手出しができません」と懸念を強めている。