高校生で、自分のやりたいことがはっきりしている人は少ないだろう。自分が夢中になれる分野は、どう見つければいいのだろうか。

「まずは、自分にとって大事なことは何だったか考えてみてください。高校の部活の仲間と一致団結できたのが楽しかったらコミュニケーションを学んでみたり、人に感謝されてうれしかったら福祉系に進んでみたり、自分がワクワクできそうな分野を探してみるのです」(倉部さん)

■急がば回れの情報リサーチ

 また倉部さんは、大学の勉強とは縁遠く思える分野でも、立派な進路になると語る。

「やりたいことも得意なこともないという子でも、じっくり話を聞くと、ゲームやアニメ、音楽が好きだったりします。最近はそういった分野を学問として学ぶ大学も増えています。また、音楽のリラクゼーション効果を知りたいから心理学を学ぶなど、好きなことを起点に進路を探すこともできます」

 どうしてもやりたいことが絞れない場合は、リベラルアーツ系の学部も視野に入れるといいとオバタさんは言う。

「いろいろな分野をのぞいてみて、興味関心が湧くことを探すのはありだと思います。ただ、ぼんやりせずにやりたいことを貪欲に探し続けること。そうしないと、何のために大学に行ったのかわからないまま卒業してしまいます」

 大学に関する情報収集についてはどうか。大学のホームページをうまく活用しようと話すのはオバタさんだ。

「特にお勧めしたいのは、ウェブ上で公開されているシラバスをじっくりと見てみることです。すると、どんな先生がどんな授業をやっているのか、かなり具体的に見えてきます。世の中には広大な学びがあることがわかり、意欲をかき立てられることでしょう。時間はかかりますが、これは受験勉強と同じくらい大切なことです」

 また倉部さんは、とにかく積極的に動く重要性を説く。

「そもそも高校生だと、ものすごく狭い範囲の大学しか見えていないことが多い。でも、本当に自分に合う大学を探すためには、できるだけ多くの大学に目を向けてほしい。ポイントは、都市部と郊外、総合大学と単科大学というように、対照的なところを見比べてみること。すると『都会の大学を志望していたけれど、郊外でのびのびと学ぶほうが向いてそう』などと、新たな気づきが得られます」

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