社会で活躍する力を伸ばす大学の取り組みについて、倉部さんはこう語る。

「近い将来、大学3年生で一斉に就活をスタートする仕組みは消え、1、2年生からインターンシップに参加したり、学生起業したりするケースが増えるでしょう。ですから、早い時期から実践的な学びをすることが重要になります。4年間ゼミが必修とか、1年生からフィールドワークを取り入れている大学は、結果的に就職に強くなるでしょう」

■リスクを避けるのではなく、リスクに強い自分になる

 最近はやりのアクティブラーニングについては、大学によって中身の充実度に大きな差があるという。

「表面的に派手なだけの大学もあれば、4年間で驚くほど学生を成長させる大学も。進んでいるところだと、企業や自治体の出した課題を学生が解決したり、入学時とは別人のようにプレゼンが上手になったりしています」(倉部さん)

 最後に、高校生に向けたメッセージを2人からもらった。オバタさんは、大学は本来楽しいものだと熱心に説く。

「大人でも子どもでもない大学時代は、制約から解き放たれて好きなことを思う存分できる期間です。あんまり深刻にならずに、いろいろとトライしてみましょう。そして世の中に自分を合わせるのではなく、自分に合った世の中のパートを探し出して、そこで輝いてください」

 倉部さんも、社会の情勢ばかりを気にせず、もっと自分に目を向けようと励ます。

「手に職をつけなさいとか、有名企業に入りなさいとか、大人はリスクの少ない選択肢を薦めがち。ですが、どんなに安泰といわれる仕事でも失敗する人はいるし、衰退産業といわれる分野でも成功する人はいます。大切なのは、リスクに強いあなたになること。潰れない会社を探すより、たとえ会社が潰れても自分は大丈夫と思えるように、自分を磨きましょう」

(林菜穂子)

倉部史記(くらべ・しき)/進路づくりの講師、高大共創コーディネーター。全国の高校で「進路づくり」に関する講演を行う。日本大学理工学部建築学科卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。私立大学専任職員、予備校の総合研究所主任研究員、大学連携プロデューサーなどを経て現職。

オバタカズユキ(おばた・かずゆき)/フリーライター、フリー編集者。上智大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランス。1999年から毎年、「広告・建前・裏取引一切なし」で現役学生、OB・OGのナマの声を紹介する『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を監修・発行。著書に『何のために働くか』(幻冬舎文庫)など。

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