9月17日からスタートした10連戦の初戦となった巨人戦(東京ドーム)ではプロ2年目、20歳の奥川恭伸が初回に1点を失いながらも、崩れることなく尻上がりに調子を上げた。プロ入り後、初めての中10日未満で自己最多の103球を投げ、7回1失点で7勝目。「自分が投げてる時も、後ろを見れば、守ってくれる、声を掛けてくれる野手の方もたくさんいる。仲間を信じて、チームメイトを信じて、その気持ちが自分を楽にしてくれている」と話した。

 この勝利でセ・リーグ2位のヤクルトは首位・阪神とのゲーム差を2に縮め、3位・巨人との差は1ゲームに広げた。1週間ほど前には「(順位は)意識しないと言ったら嘘になりますね。ただ、いつも言ってるけど、やっぱり目の前の試合にどうやって勝つかとか、そういうことで頭がいっぱいで」と話していた高津監督も、この日の試合後の会見では「上位(阪神、巨人)は今後、優勝するためには絶対に勝たなきゃいけない相手だと思います」と「優勝」の2文字を口にしている。

 昨年まで2年連続最下位のヤクルトだが、振り返ってみれば前回優勝した2015年も、前の2年はいずれも最下位。その2015年は、今季と同じ108試合消化時点では首位の阪神から3.5ゲーム差の2位であり、今年の方がより優勝に近い位置にいることになる。これからは嫌でも意識せざるをえなくなるだろう。

 ヤクルトの残り試合は、今日の巨人戦を入れて「35」。セ・リーグ6球団の中で最も多く、この10連戦が終わっても6連戦がビッシリと並ぶなど、スケジュール的には楽ではない。ただし、どんなに厳しい状況であろうとも「チームスワローズ」は最後まで一枚岩となって戦い抜くはずだ。指揮官に注入された「絶対大丈夫」の言葉を胸に──。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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