オダギリ:それはうれしいです。着ぐるみは僕の全身を採寸して細かく作ったんですよ。でも、なぜあんなにしゃべる役にしたのかって後悔しました。「帰ってきた時効警察」(07年)で僕が脚本を書いて演出した回では、自分が演じた霧山を入院させて、麻生さん演じる三日月が事件を調べるようにしたじゃない? あれが正解ですね。出演するなら役は小さい方がいいと痛感しました(笑)。
■「隠し玉」にファン号泣
麻生:完成した作品をご覧になった時はどう思われたんですか。
オダギリ:これでいいんだろうかと。いまだに自信はもてないです。脚本を書く作業は、制約もなく想像で書けるのでとても自由なんです。でもそれを形にしていくのが本当に難しい。
麻生:今回も?
オダギリ:今回も。もちろん俳優さんの力で自分が書いたものより面白くなることもあります。でも、やはり本が出来上がった時が一番満足度が高い。映像的な見せ方がまだまだ未熟なんでしょうね。全てひっくるめて考えると、なかなか本を超えられないですね。とは言え、自分のやれることは全て入れ込んだ結果、映画館で観てもらいたいレベルに仕上がっています。
麻生:色々ありましたが、今回出演できて本当に良かったです。漆原は自分の中でも新しいキャラクターができたと、とてもうれしいんです。
オダギリ:そうだね。2話の漆原のセリフに「私は……」。
麻生:「私は制服コレクションのグランプリなんだからねっ!」ってセリフでしょ(笑)。私が高校生の時に「週刊ヤングジャンプ」の制服グランプリをいただいたことがありまして。
オダギリ:それを思い出して、急遽アフレコで加えたんだよね(笑)。麻生さんの学生時代からのファンは泣いちゃうんじゃないですか。
麻生:もぉ、そんな人はいませんって(笑)。でも、皆様にぜひ楽しんでいただきたいです!
(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2021年9月27日号