そして、排便習慣。

「正常な排便の定義は3日に1回から1日に3回。便をなるべくためないようにしてほしい。どうしても排便できない場合は、浣腸で出すのも方法です」(前田教授)

 また、便を少し硬くするポリカルボフィルカルシウムや、下痢気味の人には下痢止め薬のロペラミドといった、薬での治療でも多くの人が改善する。

「それでも満足な改善が得られない人には外科的治療があります。括約筋が切れている人に対しては、縫い合わせる肛門括約筋形成術。14年に保険適用されたSNM(仙骨神経刺激療法)という、小さいペースメーカーを腰の横に埋め込む手術もあります。非常に効果があり、8割から9割の人が改善します」

 主な危険因子は加齢ということもあり、放っておけば悪化の一途をたどる。治療を始めるのは早いほどいい。少しでも疑いがあれば対策に乗り出そう。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2021年10月1日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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