一方で、リアルに対面する価値も再認識されている。
「オンラインは、学生にとっては企業文化がわかりづらく、企業にとっては集団の中での学生の姿が把握しづらい。企業の大半はリアルでの対面を望んでいますので、今後はオンラインとリアルを組み合わせた採用が主流になるでしょう」
◆どこに入るかより、入社後何ができるか
コロナ禍で新たな生活様式が浸透し、テレワークなど働き方にも変化が生まれている。これから社会に出る学生は、就職についてどのような視点をもつべきだろうか。
「大学生の時は、どの会社に入るかということが非常に大きなウェートを占めると思います。けれども、どこに入社できるのかよりも、入社後何ができるかのほうが大事です。キャリアに対して考えれば考えるほど不安になるかもしれませんが、勝負は会社に入ってから。入社後をイメージして就活に取り組んでくれると、頼もしいなと考えます」
起業やパラレルキャリアなど、新卒一括採用に代わる新たな働き方について、コロナ禍でより一層の注目が集まっている。自らも30代で起業した中野さんは、今後起業という選択肢を選ぶ人は増えていくと予測する。
「私自身、関西で起業家の支援活動をしている観点からも、起業を選択する人は増えると思っています。資金面でも、シェアオフィスやリモートワークなど働き方の面でも、起業のハードルは劇的に下がり、環境は整備されています。コストが下がってリスクが減る一方、起業して会社が大きくなった時のベネフィットが大きいので、選択肢としての起業はますます広がるでしょう。起業で重要なのは、ニーズがある時に行うべきだということ。成功するためには、タイミングを逃さないことがポイントです」
(上野裕子)
〇中野智哉 なかの・ともや/i-plug代表取締役CEO。1978年兵庫県生まれ。 2001年中京大学経営学部経営学科卒業。12年グロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻修了(MBA)。インテリジェンス(現パーソルグループ)を経て、12年i-plugを設立。