「車の中で大沢さんがリードする形でしたが、テイク1かテイク2で終わったと思います。基本的には2人に任せていました。大沢さんはすごく紳士的な方なので、結子さんも大沢さんを信頼していたんだと思います。車の中に雨が降ってくる設定だったので、車の屋根を溶接で全部切り取りました。ここでは、姫川のどうしようもないトラウマを表現したかったんです。車の中で雨にぬれながら、姫川の息が荒くなっていく。抱かれながら、溺れていくというような感じのシーンにしました」

 映画公開の後は、「姫川班」のメンバーで打ち上げを行ったという。「姫川班」の刑事役を演じた俳優、西島秀俊、小出恵介、丸山隆平、宇梶剛士らと一緒に酒を酌み交わした。

「姫川班のメンバーは夕方ぐらいから明け方まで飲んでいて、みんなベロベロでした(笑)。結子さんも酒が強い方だから、一緒に飲んでました。その後、オールナイトニッポンで竹内さんが1日だけメインMCを務めた時に『姫川班でまた絶対、一緒にドラマをやろうね』と言っていたんですが、それもかなわぬ夢となりました」

 竹内さんの死後、原作者の誉田氏は「結子さんの玲子は私のミューズでした」とツイッターに投稿した。

「誉田先生もやっぱりショックだったと思うし、姫川シリーズは現在も続いていて、結子さんに触発されて書き続けていらっしゃる部分もあると思います。結子さんはそのくらい姫川チームを大事にしてくれました」

 インタビュー中、佐藤監督は何度も「幸せな時間だった」と繰り返した。

「結子さんと挑戦した作品は、私にとって大切な思い出で、すごく幸せな時間でした。結子さんという素敵な人に出会えて、いい仕事をさせてもらって、感謝しかありません。みなさんにも、女優としての結子さんの姿を、いつまでも忘れないでいてもらいたいです」 (構成=AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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