映画「総理の夫」(配給:東映、日活)は新宿バルト9ほかで公開中 (C)2021「総理の夫」製作委員会
映画「総理の夫」(配給:東映、日活)は新宿バルト9ほかで公開中 (C)2021「総理の夫」製作委員会

田中:僕もそうですが、現場のスタッフも「中谷さん、本当に出馬してくれないかな」って話をしていました。

中谷:そうだったんですか? 凛子は、働く女性が子どもを育てやすい社会を作ることをマニフェストの一つとして掲げていましたが、自分の生活は犠牲にせず、かつ世界を救おうとしていて、素敵だと思いました。でも日和は何もしてないわけじゃなくて、凛子のストレスにならないように、ものすごく心がけている役でしたよね。

田中:日和が「凛子、こうあるべきだ!」みたいなタイプだったら、多分ダメでしたね。

中谷:途中で凛子は、総理大臣として立っていられるのは、日和がサポートしてくれていたおかげだと気づきますが、それは結局、男女の役割が反対になっただけで、何も解決していないかもしれない。難しい問題だなと、演じながら思いました。

——仕事と家庭、公と私の両立は、実際に二人が働く現場でも、簡単なことではないようだ。

田中:僕らの業界もバリバリ働いている女性がいっぱいいますけど、子育てしながら働くというのはそれだけで尊敬します。

中谷:私自身は働くことを決めた時点で、子どもを産むつもりはなかったんです。どうしても長時間労働になる現場ですから、自分が理想とする子育ては残念ながら無理だと思いました。女性のカメラマンなどが、出産で仕事をあきらめざるを得ない状況も見てきて、現場に託児所があればな、とも思います。

田中:今回、コロナで一時期、すべての仕事がキャンセルになって、家族と過ごす時間が増えたんです。それがすごく楽しかった。仕事が好きだし、忙しい方が性格に合っているとは思うものの、バランスを取るのは大事だなあと思いました。

中谷:女性にとっては、いまのような社会のままで、子どもを産め、でも働けと言われると、ちょっと苦しくて身動きできないですよね。より良い日本の未来のために、誰かが変えてくれないかと本当に思うのですが、それを凛子がやろうとしている。彼女には夢を託しました。

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