「YouTuber」が職業として認められる時代になりました。それでも6~7年前は、YouTubeの広告でお金を稼げると知っている人は少なく、「趣味で動画をあげる変わった人々」という認識をされていました。
しばらくして「YouTubeでメシを食ってる人」の存在が明らかになってからも、「どうせ今だけしか稼げない」「すぐに衰退する職業」「芸能人の劣化版」と言われ続けていました。その後、YouTuberの社会的地位が向上したのは、芸能人やスポーツ選手などの有名人の方々が参入してきてからのことです。企業がYouTuberなどのインフルエンサーを広告として起用することが増えたり、YouTuberがテレビ番組に出演したり、政府や自治体との仕事をするようになったことで、「オフィシャルな存在」として認識され始めました。
現在では、YouTuberという職業を知る人も多く、若年層だけでなくシニア層への認知も広がっています。「どうせ今しか稼げない」と言われてから数年が経ちますが、本当にYouTuberは不安定な職業なのでしょうか。
YouTuberとして成功した場合、ジャンルにもよりますが、その経歴は今後のキャリアにプラスに働く可能性が高いと考えます。もし、明日YouTubeがなくなったとしても、YouTubeで成功した経験がある人は、次の就職先が見つけやすいと思います。動画編集の技術を生かして制作会社に入ったり、TikTokやInstagramやネット広告などの動画を制作する仕事もあります。
「動画の時代」とも呼ばれる現代では、動画を作れる技術を必要とする企業は多いのです。また、インターネットコンテンツやSNSに強いという性質を生かして、広告代理店に就職することも考えられます。自分の実績と、チャンネルで行ってきた作業を説明すれば、興味を持つ企業はあるはずです。
さらに、ジャンルに特化した就職先もあります。メイク系動画であれば化粧品会社、料理系であれば料理教室、レビューしていた商品のメーカーといったように、自分の特化ジャンルを生かしたキャリアプランも組めるはずです。商品開発でも広報でも、YouTuberとして消費者ニーズに寄り添った動画を作ってきた経歴は、必ず役に立つからです。
また、ある程度の人気を誇るYouTuberはファンを抱えています。例えYouTubeがなくなったとしても、TikTokやブログ、Instagramなどで活動すれば、グッズ販売や物販などの収益が発生します。「影響力」を本人たちが持っているため、YouTubeというプラットフォームに縛られない人気があるとも言えます。さらに、クリエイターとしての側面が強い音楽やアニメなどのジャンルで成功していた場合、音楽ライブ、音楽配信、アニメーターとしての仕事など、才能を生かした仕事ができる可能性もあります。以上のことから、皆さんが思っている以上に、「成功したYouTuber」は「今しか稼げない」わけではなく、その性質は安定していると言えます。
しかし、これはあくまでも「成功した」YouTuberの話です。
「成功」の定義は一律には言えませんが、プロフェッショナルの定義を当てはめると「その収益で生活ができる」という基準になります。YouTubeで生活できるほどのお金を稼ぐことは非常に大変です。多かれ少なかれ、がむしゃらに頑張る時期やスランプの時期、伸び悩む時期など多くの壁を乗り越える必要があります。動画の制作や編集だけでなく、リサーチや企画を考える段階も含めると、非常に多くの時間も手間もかかります。
私はチャンネルを伸ばす過程の経験こそが、YouTuberが得る本当の価値と言えます。一つの会社で働き続けることが難しくなり、個人の能力が問われる時代において、自分でコンテンツを作り、伸ばした経験を持った人材はどの業界でも活躍します。意外に思われるかもしれませんが、プロのYouTuberになると仕事の幅は広がり、キャリアも融通が利くようになります。ある意味、YouTuberは安定した仕事と呼ぶこともできるのです。