コロナ禍のステイホーム中に断捨離を実行した人は多いだろう。不必要なものを捨てた後、手元に残るのは愛着あるものばかり。ポストコロナの時代は、大事なものを修理して使い続ける「修活(しゅうかつ)」がはやるかもしれない。「捨てない生活」を支えるプロの仕事に迫った。
【写真】リペアやリメイクを専門に行う「リ・ユニクロ スタジオ」がオープン
* * *
アパレル大手のユニクロが10月22日、新たな一歩を踏み出した。東京・世田谷千歳台店に「リ・ユニクロ スタジオ」をオープンさせたのだ。ここでは、愛着のある服を着続けたいという客の依頼を受け、リペアやリメイクを専門に行う。
「より長くユニクロの服を着続けたいというお客様にもご満足いただくために、このサービスを始めました。ドイツなどではすでに運用していますが、日本には『もったいない』という考え方が昔からありますので、このサービスは根付いていくのではないかと思っています」(広報担当者)
ユニクロでは以前から、店内に回収ボックスを置いて着なくなった服を集め、リユースしていた。新たなサービスは着なくなった服をリペア・リメイクして「使う」ためのもの。つまりは“アップサイクル(創造的再利用)”の拠点だ。
船出して1カ月に満たないが、すでに想定を上回る依頼があるという。
修理の依頼が増えているのは洋服だけではない。東京・目黒で家具修理を専門とする「フィズリペアワークス」でも、コロナ禍を経て、家具修理の依頼は増えているという。西原弘貴代表は「新型コロナウイルスの感染拡大中のステイホームで、家で過ごす時間が増えたことは大いに関係がある」と見ている。
「自宅の椅子やテーブルを使う時間が増え、毎日使うものならメンテナンスしたいと感じた人や、家具をリメイクして部屋の印象を変え、より快適に過ごしたいと考える人が増えたのでしょう。男性のお客様が急増しているのもそのためだと思います」
西原さんが日本では珍しい家具修理の専門店を立ち上げたきっかけは、2011年の東日本大震災だった。親や先代の時代から使っていたものを失い、がれきの山の前で途方に暮れる人々の映像を見て、家具修理の専門家がいないと気づいた。