ほし・ひろし/1955年生まれ。朝日新聞政治部、ワシントン特派員、特別編集委員などを歴任。2016年に同社退社後、TBSで政治について解説(c)朝日新聞社
ほし・ひろし/1955年生まれ。朝日新聞政治部、ワシントン特派員、特別編集委員などを歴任。2016年に同社退社後、TBSで政治について解説(c)朝日新聞社
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 岸田新政権の党役員人事は、「安倍・麻生」の影響を感じざるを得ないものだった。今後、岸田氏はどう向き合っていくのだろうか。AERA 2021年10月11日号は、政治ジャーナリスト星浩さんに聞いた。

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 岸田文雄氏には「煮え切らない」「ひ弱」といったレッテルが貼られてきた。総裁選への挑戦を躊躇(ちゅうちょ)したこともあった。地元・広島を揺るがせた河井克行・案里夫妻の選挙違反事件には安倍晋三政権の首相官邸が絡んでいたのに、怒りをあらわにすることはなかった。 

 一方、強情で芯の強さを見せることもある。外相だった2015年12月、慰安婦問題の解決で韓国側と合意した。岸田氏の事務所には嫌がらせの電話やファクスが殺到。側近たちは気をもんだが、本人は「大したことではない」と気にしなかった。 

 政治的立場を聞かれると「リベラルです」と即答する。リベラル嫌いの安倍氏を気にして側近たちが「『リベラル』は避けた方が……」と持ち掛けても「何か問題あるの?」と取り合わなかった。 

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