「アメリカでは“開拓者”はリスクが高くとも、それなりの見返りがあるため率先して取り組む人が現れます。ですが、アメリカ的なやり方をそのまま日本に取り入れる必要はありません。日本に合ったやり方で変えていけばいい」
日本に初めて興味を持ったのは、スタンフォード大学で社会言語学を専攻としていた10代の頃。日本の近代史を学ぶなかで、明治維新を境に社会が変わっていく、その過程に興味を抱いた。日本語を習ってみたい。そんな気持ちに導かれ、日本にやってきた。
「気持ちが楽になった」
初めて日本に降り立った時の感情をそう振り返る。
「私は典型的なアメリカ人ではないのか、自分の力を声高に叫ぶのがあまり好きではありません。能力があれば、それを周囲にアナウンスして歩く必要はないと思うからです。どんな時も人に優しくありなさい、という両親に育てられたこともあり、日本的な“遠回しの優しさ”にも共感しました。そうした要素がしっくりきたことで、長く日本に魅せられてきたのだと思います」
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2022年11月21日号