しかし、アニメ版の煉獄は、周囲の人々を気遣いながら優しく語りかけている。相手にしっかりと目線を送る、ほほ笑みかける。煉獄杏寿郎は、代々「炎柱」を輩出している名門・煉獄家の嫡男で、品の良さ、優雅な身のこなしが、アニメ版では強調されていた。弁当屋の娘とその祖母にも、声をかける際に「あなた方」と呼びかけ、物腰も柔らかい。
「やあ!こんばんは 気持ちのいい月夜ですね」(煉獄杏寿郎/アニメ2期・第1話「炎柱 煉獄杏寿郎」)
■煉獄杏寿郎の戦闘力
無限列車周辺の聞き取り調査中に、煉獄は「切り裂き魔」と呼ばれる鬼と遭遇した。この鬼は人を無差別に襲い、そこに快楽を見いだす「殺人鬼」に近いタイプの鬼だった。おいしそうな人物は食料に、まずそうな人物は長時間痛めつけながらその苦痛の様子を楽しむ、そんな極悪非道な鬼だったのだ。
「やはりお前は不愉快だ」(煉獄杏寿郎/アニメ2期・第1話「炎柱 煉獄杏寿郎」)
煉獄は鬼に冷たく言い放つ。「切り裂き魔」は高速移動が自慢の鬼だったが、それを上回るスピードで、煉獄はあっという間に、鬼の首を斬り落とした。
「お前は遅い!」(煉獄杏寿郎/アニメ2期・第1話「炎柱 煉獄杏寿郎」)
■「炎柱」の継承と煉獄杏寿郎の父
煉獄が「切り裂き魔」を倒した技は、炎の呼吸・壱ノ型「不知火」(しらぬい)だった。この技は、彼の闘気が炎の像を結び、高速で相手を両断する壮大な技である。煉獄はこの技をどこで身につけたのか。
煉獄は現在の炎柱で、その父が元・炎柱の煉獄槇寿郎(れんごく・しんじゅろう)である。その間に、別の炎柱の継承者はいない。つまり、杏寿郎が使用している「炎の呼吸」は父・槇寿郎に指導されて身につけたものだと考えられる。
しかし、この後、アニメが進む中で改めて描かれる場面では、杏寿郎の父は、彼の妻(※杏寿郎の母)が病死する前後に、不幸な出来事が重なって、その心痛から息子たちへの剣術指南をやめている。父・槇寿郎はまだ十分に戦える実力を持ちながら、名誉ある「炎柱」も返上し、酒びたりの日々を送るようになっていた。