エビ・カニ、小麦──。なにがしかの食物アレルギーに、心当たりがある現代人は多いはずだ。けれど、その検査法を正しく理解しているだろうか? AERA 2021年10月18日号から。
【データ】さまざまな自覚症状のある男女5人で、IgE抗体検査を受けてみた結果は…?
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外食がめっきり減ったのは、コロナ禍のせいではない。「グルテンフリー」のせいだ。
大阪在住の40代夫婦はともに大阪育ちで、無類の「粉モノ」好きだった。中学生の娘を含む家族3人で、たびたびお好み焼き店めぐりをしていた。
だが、2年ほど前、妻が「遅延型食物アレルギー検査」の話を聞いてきた。友人がその検査で小麦などの穀物に含まれるタンパク質「グルテン」に陽性が出て、グルテンフリー生活を始めた。すると、「痩せて体調も良くなった」という。
その言葉に触発され、妻もその検査を受けると、グルテンに陽性が出た。小麦を控えてみたところ、疲れにくく、睡眠の質が向上したように感じた。そこで、家族全員の食事もグルテンフリーに切り替えたのだ。
小麦を含む食品は多い。当初はパンやパスタを避ける程度だったが、だんだん徹底してきた。外食は避けて自宅での食事ばかりになり、とんかつやムニエル、シチューやカレーのルウ、醤油など調味料まで、グルテンフリーを徹底して貫くようになった。
今ではお好み焼きも米粉使用だ。やっぱり「粉モノ」が恋しいし、地味にお金もかかる。「何より、子どもの栄養や食育が心配」と夫は言う。
あの時受けた検査で妻は、リンゴやモモ、キウイなどの果物にも陽性反応が出ていた。
「いつ果物もやめようと言い出すのでは、と戦々恐々としています」(夫)
■よく食べるものが陽性
食物アレルギーとは、ある特定の食物を口にしたり触れたり吸い込んだりした時に、それらに含まれるタンパク質に「免疫」が過剰に反応、体にさまざまな症状が起こる疾患のことだ。
摂取後すぐ、遅くとも2時間以内に症状が出る「即時型」と、数時間以上経ってから症状が出る「遅発型」がある。食物アレルギーの大半は即時型で、一般に食物アレルギーというと、即時型を指す。9割の人に蕁麻疹(じんましん)やかゆみなど皮膚症状が見られるほか、ゼイゼイした呼吸(喘鳴)や咳、腹痛、下痢、嘔吐、充血やまぶたの腫れなどが典型的だ。