医師国家試験の合格率が全体的に高い理由としては、「留年して高額の学費を払い続けることはできないため学生が必死に勉強する」「大学が合格の見込みが低い勉強不足の学生には受験させないよう進級・卒業要件を厳しくしている」などがあると、教育関係者は指摘する。

 なお自治医科大の卒業生には、政府の新型コロナ対策分科会会長を務める尾身茂氏がいる。尾身氏は慶應義塾大学法学部に入学後、大学2年の時に手に取った本『わが歩みし精神医学の道』がきっかけで医学部を志し、自治医科大の1期生として入学した。そこで送った青春時代について次のように振り返っている。

「夏になれば、日光宇都宮マラソン、夜になるとラウンジでの宴会、訪中団を結成し文化大革命進行中の中国訪問、冬の軽井沢山荘での三日三晩の徹夜麻雀。それぞれが青春を謳歌した。勿論遊んでばかりいた訳ではない。皆やるべき時には勉強にも集中した。試験の前になると、学生寮は不夜城と化す。空腹が募る深夜になると、タイミングよく、本屋の社長さんからお汁粉が届く。1期生だけで学生の数も少なく、教職員の方と学生たちの関係は緊密で、教授の家に夜遅く勝手に押しかけては酒を強要することもしばしば」(自治医科大学HP「卒業生VOICE」) 

 未来の医師を育てる大学としてトップを走り続ける自治医科大。有名な卒業生が活躍する様子を、岡崎教授はどう見ているのだろう。

「医学部の教育は、国家試験の成績向上だけでなく、卒業生がどのような医者になり、どう頑張っているかが大事な結果だと思います。1期生の尾身先生は離島で地域医療を担い、その後はWHOでの経験を生かし、今は日本で感染対策の指揮を執っている。自治医科大は国際的に通用する地域医療の担い手を育てることが使命ですが、まさにそれを実践している。私は自治医科大の7期生ですが、こうした先輩を非常に誇らしく思います」 

(白石圭)

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