大和ミュージアムには「戦艦大和」10分の1の模型がある(撮影/水澤薫)
大和ミュージアムには「戦艦大和」10分の1の模型がある(撮影/水澤薫)

■斬新なアニメ、最初は人気出ず

 人間ドラマとSFが絡み合う、当時としては斬新なアニメだった。西崎氏は主題歌の作詞を阿久悠氏、作曲を宮川泰氏に、歌はささきいさお氏に依頼。だが1974年の放送当時は裏番組に人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」があり、視聴率が伸びず途中で打ち切りになる。だが作品にこだわりが強かった西崎氏の執念で、再放送から人気に火がつき、77年に劇場版アニメが公開され大ヒットする。翌78年に制作された続編「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」をはじめ、テレビアニメや映画でシリーズ作品が続いた。

 2012年からは第一作目をベースとした「リメイクシリーズ」がスタートし、宮川泰氏の長男、彬良氏が音楽を手掛けている。テレビ放送と劇場上映を組み合わせる形で「宇宙戦艦ヤマト 2199」、「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」と制作。最新作で4作目となる「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち 前章―TAKE OFF―」が10月8日に劇場上映される。上映に先駆け、東京と大阪で行われた彬良氏の指揮によるオーケストラのコンサートは発売後に即完売となり、時代を超えた根強い人気を誇る。

■阿久悠、宮川泰のコンビで「天下一品の最高傑作」

 主題歌は阿久悠氏の詞に宮川泰氏がメロディーをつける形で作られた。阿久氏は西崎氏の「熱っぽい企画意図の説明に酔わされながら、作詞をした。クライマックスの説明で、涙を流したプロデューサーは、彼が初めてである」と自著「歌謡曲の時代~歌もよう人もよう」(新潮社)に書いている。阿久氏は生前「アニメーションという、世界に誇る日本文化のさきがけとなった」とも話していたという。また宮川氏はこの詞が「天下一品の最高傑作」で、曲は「僕の代表作だと思っているので、人一倍の愛着があります」と自著「若いってすばらしい」(産経新聞出版)に書いている。

 メロディーは、甲子園高校野球の応援ソングや、高校のブラスバンド部の演奏歌としてもおなじみだ。ブラスバンド用に編曲したのは、息子の作曲家、宮川彬良氏だ。最初のアニメ放送時は中学生だった。「当時は妹が『アルプスの少女ハイジ』をお茶の間のテレビで見ていて。裏番組の『ヤマト』を僕は父の部屋にあった白黒ポータブルテレビで見ました。『かっこいいなあ』と凄くシビれました。次の日、学校でその話をしたら、1学年90人中、見ていた同級生が2人だけ(笑)」。

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