模試で点数が悪いのは、単に「努力が足りないから」ではないんです。会場の学校の雰囲気が悪かったとか、机がガタガタしていて集中できなかったとか、そんなことも影響します。また、前夜遅くまで頑張りすぎて睡眠不足になったり、特に模試当日の朝に親とケンカしたりすれば、調子が出ないのは当然です。模試の前はプレッシャーを与えすぎず、気持ちよく送り出してあげてほしいですね。「終わったらバッティングセンターに行こうね」「焼き肉にしよう」などと楽しみを設定するのもいい。わが子にとってのリラックス方法を工夫して探ってあげてください。
もちろん親も人間だから、模試の結果に一喜一憂したり、感情が暴走することもあります。でも子どもの前ではできるだけ冷静でいてあげたいものです。
ポイントは、模試の結果は子どもの前で見ないこと。一人の時に見て、ひとしきりがっくり落ち込んだり悪態をついたりして(笑)、少し気持ちを落ち着けてから、何かしら褒められるポイントを必死で探しましょう。子どもには、その褒めポイントを伝えることから。そのプロセスを踏まないと、子どもは親の小言に耳を塞ぐだけです。
■睡眠時間の管理は重要
──受験生なのにゲームに夢中。勉強時間も増えているため睡眠不足も気になります。自主性に任せていいのでしょうか。
まず中学受験生の親が、いちばん厳密に管理すべきなのが、睡眠時間です。模試の前であっても決めた時間に寝かせましょう。子どもは優先順位をうまくつけられないので、そこは親が徹底して。
また、6年生になってもゲームが手放せない子は多いものです。少しの息抜きならいいと思っていても、ゲームは依存性があるので要注意。感情的にゲーム機を取り上げたり隠したりするのではなく、「入試までのゲームとの付き合い方を決めよう」と親子で“冷静に”話し合い、改めてルールを一緒に作ってください。この時、ルールを破った際のペナルティー(3日間禁止など)も決めます。そしてルールを破ったときは必ずペナルティーを遂行させることが重要です。依存している子は怒ったり暴れたりもするでしょうが、親はそこで負けてはいけません。覚悟を持って子どもに向き合えるかどうかが肝心です。
中学受験って、親の関わりがとても大きくて大変ですよね。しかも、単に勉強だけさせていればいいというものじゃない。いろんな壁があって、その度に親子の葛藤が生まれます。
でも、その都度、話し合いを繰り返しながら、自分たちにとって何がベストかを決めていく過程こそが中学受験の醍醐味。終わったとき親子で一緒に乗り越えたと言えますように。
(構成/ライター・玉居子泰子)
※AERA 2021年10月18日号より抜粋