古賀茂明氏
古賀茂明氏

 森友事件に関連して公文書改ざんを強要され、後に自殺に追い込まれた近畿財務局職員・赤木俊夫さんはその犠牲になったのだ。私は、ご遺族の夫人・雅子さんとよく話をするが、実は、雅子さんが一番心配しているのは、国民が森友問題を忘れてしまい、真相が何も明らかにされないまま、「過去のもの」として葬り去られてしまうことだ。

 だが、今回はこれまでとは違う。10月6日に雅子さんが岸田文雄総理に出した手紙が反響を呼び、ヤフーニュースによる選挙の最大の関心事のアンケートで、森友再調査が何と断トツの1位。驚くべきことだ。選挙中も関心を集め続けるだろう。これは、安倍政治への嫌悪感がまだ国民の頭の中に深く刻まれている証である。今、岸田内閣が安倍政治を変えられないというイメージは急速に広まり、内閣の支持率は低迷している。雅子さんの手紙はそこにさらなる痛烈なダメージを与えた。

 野党側が万全な共闘体制を作れたら自民大敗という可能性も十分出て来た。雅子さんの手紙は、国民の「記憶」を呼び覚ましたのだ。

「安倍さん、国民はそんなにバカではありません」という結果を選挙で示すことができるかどうか。私たち国民一人一人の真価が問われている。

週刊朝日  2021年10月29日号

著者プロフィールを見る
古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

古賀茂明の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
Amazon スマイルSALEは9月4日まで。よりお得にするためのポイントやおすすめ目玉商品を紹介♪