インターンシップでも接点を増やすことができる。ディスコによると、インターンを行った学生(22年春卒業予定)は今年3月時点で87.8%とコロナ禍前より高水準だ。だが、企業側の実施率は63.3%でコロナ禍前より10ポイントほど低い。武井さんは言う。
「オンラインでできるとは言っても会社の魅力が伝わりづらい。だから実施に踏み切れない会社もあります」
そんななか、清水建設は昨夏と今夏、現場監督のインターンシップをVR(仮想現実)で実施した。現場監督は多くの職人のとりまとめや、現場の進捗、品質、安全を管理する。いままでは全国の工事現場に学生を集め、仕事を理解してもらっていた。それがコロナ禍で難しくなり、VRを利用することにした。同社人事部の嶋森遥子さんはこう話す。
「現場を知らなければ(就活生と企業の)ミスマッチが起きてしまうかもしれません。オンラインでどうにかできないか考え出しました」
■スマホで「現場」を見る
専用眼鏡をかければ、学生は自分のスマホやパソコンから「現場」を見られる。現場は国内で建設中のビルや大学で、重機の音が響く。近くではロボットも動いていた。嶋森さんは言う。
「若手社員が職人さんとコミュニケーションを取る姿も見てもらいました。職人さんはちょっと怖いイメージがあるかもしれませんが、実際に会ってみると優しいですし、わからないことは教えてもらえます。いい関係を作るのも仕事です」
コロナ禍のなか、新たな試みが次々と始まっている。(編集部・井上有紀子、深澤友紀)
※AERA 2021年10月25日号より抜粋