eスポーツに興味を持ったはいいが、まだまだ気軽に体験できる場所が少ないのが現状だ。

 そんな中、スポーツジムのように月額会員制でeスポーツの練習ができ、スタッフやプロからアドバイスが受けられる日本初の「eスポーツジム」が、今年6月に東京都に誕生した。

 eスポーツの教育事業を展開するゲシピと東京メトロが提携し、東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅直結のビル内にオープン。「明るく、健康的で、誰でも入りやすいeスポーツ施設」がコンセプトで、対戦型シューティングゲーム「ヴァロラント」、チームバトルゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」など、5種類のゲームができる。

「eスポーツも野球などのスポーツと同じく、続けることで人間的にも精神的にも成長できるものだと考えています。住宅街に近い赤羽岩淵で“寺子屋”のような場所をつくることで、eスポーツを広く知ってもらい、多くの人に体験してもらいたいと考えています。ただ技術を教えるのではなく、会員同士が交流できる場を目指しています」

 そう話すのはゲシピの代表取締役CEOの真鍋拓也さん。コミュニケーションを形成するために、ジムには「コミュニティマネジャー」というスタッフを置いた。ゲームのやり方をサポートするだけでなく、積極的に会員に話しかけ、会員同士の橋渡し役を担っている。

 オープン直後から、近隣の小学生から60代まで幅広い人々が訪れている。

「eスポーツを全くやったことがないけれど、興味はあったという人が来てくれています。もっと詳しくなりたい人のためにゲーム別の無料レッスンや、プロによる有料レッスンなども行っています」(真鍋さん)

 真鍋さんは、eスポーツに対し、年齢や国境、ハンディキャップも超える“バリアフリー”なところに魅力を感じている。今後はシニア向けのアプローチもしたいと考える。

「eスポーツは頭や手を使うので、脳の刺激になるはずです。ここに来れば世代を超えたコミュニケーションがあり、孫とのゲーム対戦も夢ではありません。eスポーツは技術と知識が必要ですが、技術に自信がなくても、知識やチームワークでカバーできます。最近、シニア層のeスポーツが活発になってきているのはいい流れ。僕も年齢を重ねてもやり続けたいと思っています」(同)

(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2021年10月29日号より抜粋

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